同窓会の会場を離れ路上を歩いていると、涼しい秋風がお酒とキスで火照った身体を冷やしていった。

古賀くんと結婚したのは、まだ夏が訪れたばかりの頃だった。

私達が夫婦として過ごしたのは、まだたったの数ヵ月でしかない。

その数ヵ月で一体互いの何が分かるというのだろう。

「離して……」

「嫌だね」

「きっとしいちゃん達、困ってるわ……。戻らなきゃ……」

「他人なんかどうでもいいだろ」

「元はと言えば古賀くんがいけないんでしょう……?」

黙っておいて欲しいって言ったのに……あんな真似までして。

悔し紛れに唇を手の甲で拭う。

「何で古賀くんは自分の要求ばかり押し通そうとするの……?私の気持ちはどうでもいいの……?」

「お前が市村の話なんかするからだ!!」

激高した古賀くんに両肩を掴まれると、痛みと同時に恐怖を感じた。