「古賀ならもっと良い女と結婚できただろ?まあ、何でも言うこと聞きそうではあるけどな」

会場にいる誰かが鼻で笑うと、同調するようにクスクスとバカにしたような笑いが蔓延していく。

私を古賀くんから庇うべく数々の修羅場を潜り抜け歴戦の猛者と化していたしいちゃんは即座に腕まくりした。

「あいつら……ぶん殴ってやろうか!!」

「いいよ!!しいちゃん!!」

古賀くんが望んで私と結婚したわけじゃないってわかってるし。

本当ならすらっと手足の長いモデル美女と結婚したかったんだろうし……。

「どいつもこいつも……ごちゃごちゃうっせーな」

彼がそう言った直後、どこかから悲鳴のような叫び声が聞こえた。

古賀くんは至極当然のように、私にキスをした。

しかも、わざと見せつけるようにたっぷりと1分はかけた。

「これで文句ないだろ?」

会場の誰に向けて言っているのか分からないが……文句を言いたいのはこちらの方だ。

(何を考えてるのよ!!)

この大バカもの!!っと怒鳴りたいのを堪えていると、サッと手を引かれる。

「帰るぞ」

「え?あ、ちょっと!!古賀くん!!」

私は放心している友人たちに何の説明もできないまま、同窓会の会場を後にしたのだった。