「同窓会?」

『そう!!私、幹事をやることになっちゃってさ~』

タハハと困ったように笑う電話の相手は、私の中学生時代の友人である“しいちゃん”である。

しいちゃん――“新山静香”はバスケットボール部の主将をしていたこともあり、面倒見もよく、古賀くんから標的にされた私をかばってくれた良き友人であった。

『さくらも来るよね?』

しいちゃんに誘われたら、行かない訳にはいかない。

古賀くんにいじめられていたことを除けば、中学時代の思い出はそう悪くないものだったし、久方ぶりに旧交を温めたい人だって何人かはいる。

「行きたいけど……。うん……ちょっと考えてみるね」

私はあえて返事を保留にすると、電話を切った。

……即答できないのには、それなりに理由がある。

リビングを出て廊下を歩き、書斎の扉をノックする。

「ねえ、古賀くん」

「……どうした?」

扉の向こう側から返事があり入室の許可を得た私は、即答できない理由である張本人に、同窓会の件を直接尋ねてみることにした。