「古賀伝助様からですね」

配達員の人から受け取ったのは、そんじょそこらの花束ではなかった。

小ぶりのバラが幾つも連なった世にも豪勢な花束だった。

(伝助って……まさか、おじいさん……?)

ご丁寧なことに二つ折りのメッセージカードまでついている。

“詫びの印に花を贈る。

眞琴の件は前向きに検討する。“

まるで習字のお手本のような文字の達筆さと、ロマンチックなバラの花束というミスマッチぶりが彼の血縁だということを思い起こさせる。

(……こんなところも古賀くんそっくり)

似ているようで似ていない。

似ていないようで似ている。

(バラってあの二人に似てるな……)

こんなに綺麗なのに触れてみるとチクリと痛い。

棘のあるバラを眺めながら、私はそんなことを思ったのだった。