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それから数日後、おじいさんは無事退院することが出来た。

その間、古賀くんが足繁く病室に通っていたことも、おじいさんが古賀くんの話に徐々に耳を傾けるようになったことも、私は後からお義母様に聞かされた。

あれほど頑固だったおじいさんにどんな心境の変化があったのかは、決して語られることはなかった。

恐れていたような制裁が実施されることもなく、私はすっかり安堵しきっていた。

……そんな、ある日のことである。

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ピンポーンとインターホンが鳴り、私は慌てて玄関モニターのスイッチを入れた。

『お花のお届け物です』

「お花……?」

お花を貰うような心当たりもなかったが、宛先は間違いなくこのマンションで宛名は私だった。

訝し気に思ったが、自動ドアのロックを解除し配達員の到着を待つ。