(でも、どうしてこんなにムキになってしまったのかしら……)

古賀くんが不憫だなと思ったらつい……。

がっくり肩を落としてトボトボと廊下を歩いていると、お義母様が病室から慌てて私を追いかけてきてくれた。

「さくらちゃん!!」

「お、お義母様……私……」

とんでもないことをしでかしてしまったと涙目になってしまう。

「お父さんのことなら気にしなくて大丈夫よ。そんなに怒ってないから」

「でも……」

「昔のことだけど、さくらちゃんのお父さんも同じように食って掛かってきたことがあったのよ」

……ポロリと零れ落ちそうになっていた涙が急速に引っ込んだ。

(お父さん!?)

「お父さんはひねくれ者だから自分に歯向かってくる人が大好きなのよ。だからね、売り言葉に買い言葉で青山さんに“会社を辞めろ”って言った後に本当に辞められちゃった時も随分落ち込んでいたのよ」

親子揃って古賀会長に歯向かうなんて、無謀にもほどがあるだろう……。

逆に遺伝子の凄さを感じてしまう。

「さくらちゃんが言ってくれて、正直胸がすうっとしたわ」

こうして、私はお義母様に励まされるようにして病院を後にしたのだった。