ドクターと恋を始めました。【完】

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ここがどこか…、
なんて目を開けなくてもわかる。


この香りからして、保健室ではない。
としたら、残るは病院。



本当は目が開けるのがとても怖い。



でも、逃げてちゃダメなんだ。
これ以上、現実からも逃げたくない。


だから…、



「…んっ、」



目を細めてしまうほどの眩しさと、体がだるく感じるのは病気のせい。



「あっ、眠り姫起床した〜?」


「…っ、誰?」



白衣を着ているから医者だということはわかるけど見たこともない。



「俺は眠り姫の内科主治医の楠見怜於です。
以後お見知りおきを…。

おっと、愁呼ばないと。」



愁ってのは多分、海堂先生のこと。

2分ぐらいして海堂先生が楠見先生と交代で病室に入って来た。



「おはようさん、

色々と説教したいことがあるんだけど我慢して。…で、あれから気持ち変わった?」


「…」



気持ちは変わった。
けど、どうしたらいいか分からない。



「…んま、こんな短期間に変わる訳ないか。」