『手を差し伸べてくれる人がいるならば思いっきり甘えてみなさい。
─── きっと琴音を受け止めてくれるから。』
あたしを受け止めてくれる?
信じたい、…でも、もう怖い。
「…一度だけ、信じてみる。」
先生、一度だけ信じてみていいですか?
『そんな不安そうな顔をしない。琴音ならきっと、大丈夫だから。』
あたしなら、大丈夫?
『知ってる、琴音?
神様は乗り越えられる試練しか与えない。
乗り越えられないとしたら努力がたりないだけ、いつか乗り越えられない試練を与えられたとしても自分を最後まで信じて。』
自分を信じること、
あたしなら、大丈夫。
今までも辛いこと乗り越えてきた。
「…もう一度、頑張るからあたし。」
『お母さんも琴音のこと見守るからね。
大好きだからね、琴音。』
「あたしも、お母さんのこと大好き。」
もう一度、強くお母さんとハグをした。
懐かしく優しい温もりと香りがした。
『そろそろ、行きなさい。
そして、お母さんのぶんまで生きなさい!』
その瞬間、
あたしは真っ白な光にのみ込まれた。

