『それは、琴音の思い込みにすぎないわよ?
それにね、甘えてみることも大切なことよ。』
「…もう、遅いよ。」
全てが手遅れ。
甘え方なんてものも忘れたし、甘えたいとももう思わない。
『琴音は馬鹿ね、自分の気持ちを正直にしていれば大丈夫よ。』
自分の気持ちを正直に?
そんなこと、いつもしている。
お父さんに迷惑かけないようにいつも出来るだけ1人で頑張ってきた。
辛いことがあっても1人で乗り越えてきた。
『琴音が今考えてること全て今まで我慢していたことよ。正直な気持ちなんて言わないわ。』
違う、我慢なんかじゃない。
『琴音は昔から我慢しちゃう癖があったのお母さん知ってるんだからね?』
「…っ、」
そんなつもりなんて、ない…のにどうしてこんなに涙が溢れるの?
『ほら、口では嘘つけるけど生理的現象にはかなわないわね。』
「…ち、違うっ!」

