ドクターと恋を始めました。【完】




『琴音』



優しくあたたかな声が聞こえた。
この声知ってる。


あたしの大好きだった優しい声。


何年経っても忘れたことのない大好きだった声。



「…お母さん。」


『先に言うけど、琴音はまだ死んでないわよ?

生死の狭間でもない。

体育の時に倒れたのは、琴音が今持ってる病気の発作よ。』



そっか、神様は意地悪なんだ。



「…そうだったんだ、あたし生きてるんだ。」



何で死なせてくれないの。
こんなに生きているだけで辛いのに。



『隣にいてあげられなくてごめんね。

空から見てれば、お父さんもお義母さんも全て琴音のせいにして。全く呆れるわ〜。』


「…でも、あたしお母さんのこと。」


『だから、琴音は悪くないわよ。勝手に事故して勝手に死んだお母さんのせい。』



そんなんじゃない!



「違うよ!」


『まったく…、頑固なとこは私譲りかしら。嫌なとこだけ似ちゃったわね〜。』


「あたしのせいで、お母さん…、」