俺が走って向かった先は〝救命〟。



さっき、後輩が

『…実は、さっき愁先輩の患者さんが発作で搬送されて来たらしいです。』



「海堂先生、こちらです!」



看護師が俺を誘導し、琴音がいる処置室に連れてきてくれた。



「…琴音、」


「この子、海堂の患者だったのか。」



処置室には数人の医師と看護師。

琴音は、腕に点滴をつけ酸素マスクをつけている状態だった。



「カルテみて驚いたよ。この子、UAP(不安定狭心症)なんだって?

…何故、昨日のうちに入院させない?」


「逃げられました。それに、琴音自身がオペを、望んでいません。」


「…この子自身が?、、なるほどね。」



だから、どうしようもない。
琴音自身の考え方を変えないと。



「丸山先生がカルテをご覧した通り、琴音はPTSD持ちの患者です。」


「過去のトラウマってやつねー…、」


「まず、琴音自身が考え方を変えてくれない限り無理矢理入院させることが出来たとしても、オペは出来ません。」



まず、インフォームド・コンセントを成り立たせないといけない。