愁side




「あーっ、ったく、今日のオペって1つだけじゃなかったんですか?」


「急患だったから仕方ないだろ。」



雄貴先輩と2人のオペを終えてオペ室を出て、医局へ向かっていた。



「アッぺのオペぐらい雄貴先輩も普通にできるでしょう?!」


「できないことは無いけど、俺急に今朝助手になったからカルテも見てないし?」



そうだ、今朝オペ室に入ったら何故か雄貴先輩がいて驚いた。


第一助手の予定だったやつが急に無理になったらしい。



「じゃ、俺は午後外来入ってるから行くわ。琴音ちゃんによろしくね。」



雄貴先輩は鼻歌を歌いながらスキップして診察室に向かって行った。


何だ、あの妙に良いご機嫌は…。



いつもなら『うわ、めんどくさ。』とか文句言いながら外来に行く人が…。



「あっ、愁先輩っ!
実は、さっき ───────。」



俺は無我夢中で院内の廊下を走っていた。



昨日のカルテを見る限り、
医学部生でも研修医でもわかる。


琴音の心臓は悲鳴をあげているぐらい。



発作が起きるのは早くて今日だと言う事はわかっていた。

だけど、遅くて半年という場合もある。



それは人それぞれ違うから詳しくは長年の医者の知識が必要になる。