「やっぱり、あたし怖いの。

何度、あたしの心に『大丈夫』って言い聞かせても あたしは大切な人を失う苦しみを知ってしまってる、

だからっ!!
いつか…その日が来るんだって、、、思ったらもう色々わかんなくて。」




涙がこみ上げてくる。
どうしてこんなに苦しいんだろう。


お母さんのことは吹っ切れたと思っていた。



でも、思い出したらあの日のことが頭の中で勝手にフラッシュバックして体が震える。




「……琴音、俺の職業はなに?」


「…え?……医者でしょ?」


「そう、俺の職業は医者でそれに加えて外科だ。…人を救う仕事だ。

だけど、助からない人もいる。

医者は毎日のように人の死をみたり耳にしたりするんだ。」


「…」


「そして、その度に亡くなった御家族の方や親戚の人の悲しみ喚く姿を見る。

だから、今までは絶対に死なないって言ってきたけど撤回する。

俺も琴音もいつかその日が来る、けど俺は琴音と過ごせる最後の最後までお前を離すつもりはない。」



…っ、

どうしてこんなに心があたたかくなるんだろう。


不思議と涙もとまった。