慎おじさんの家が見えた時、紫音はまだ泣いていて


『紫音、泣くのはもう終わりだよ。



お母さんたちが言ったでしょ?


笑いなさいって。』



そうしてまた紫音の手を引いて慎おじさんの家に向かった。






ーーーートントン


戸を叩くと中から慎おじさんの声がした。


『はいはい?』


『紫乃です。』


ガラッと戸が空き、おじさんが出て来た。


『紫乃!紫音も!こんな朝早くにどうした?』


『あの…家が…お父さんがここに行けって…。』


私がそう言うとおじさんは察したのか私たちを抱きしめた。


『…そうか。そうか。さぁ、入れ。』



夜通し走り続けて疲れていた私たちは遠慮せずに家へ入った。



また、地獄を味わうとは知らずにーーーー。