そうやって、力のことを除けば普通の家族だった。


そう、あの日まではーーーー。



カンカンカンッ!


夜、妹の紫音と眠っているとけたたましい鐘の音で目が覚めた。



『…ん、何……?』


『おねぇちゃん…?』


この音は、警報の鐘だ。


紫音の手をぎゅっと握った。



ガタガタッ!!


襖の外から音がして、怖くて目を瞑ると


『紫乃っ!紫音っ!』


『お父さん!お母さん!』


お父さんとお母さんが怖い顔をして入ってきた。


『逃げなさい!悪い奴らが来たの。急いで裏口から逃げなさい!!』


お母さんが叫ぶ。


『え…誰が来たの?逃げるって…?』


『長州の奴らが、紫穂(しほ)やお前たちの力を狙って来たんだ。この力を長州に渡すわけにはいかない。


力の強いお前たち…特に、紫乃。長州はお前たちを狙ってくる。だから逃げるんだ!



慎(しん)おじさんの家の場所、わかるだろ?そこに行くといい。』



慎おじさんはお父さんのお兄ちゃんでよく遊びに行っていて知っていた。



『お父さんたちは…?』



そう聞くと、お父さんとお母さんはにっこりと優しく微笑んだ。


『後から必ず行く。だから先に行きなさい。』