土「…言えねぇのか?」


困ったような、いつもより低い声で土方さんは聞いてきた。


紫「……。」



覚悟が決まらず何も言えなくて膝の上の拳をギュッときつく握った。




そっと、その手の上に大きな手が乗せられた。



驚いて顔を上げると



紫「……近藤さん。」



優しく微笑んだ近藤さんがいた。



近「そんなに強く握ったら手をケガしてしまう。大丈夫だ、君を疑ってるわけじゃないんだよ。」



そう言って私の硬く握った手を解いてくれた。



紫「で、も…。迷惑になる。そうしたら、みんなに嫌われちゃう…。ここに、いれなくなるかもしれない……!」



不安な気持ちが波みたいに押し寄せてくる。



近「紫乃くんが何を話したとしても、必ず受け止めよう。



君が背負っている苦しみを少しわけてもらえないか?」



紫「こ、んどうさん…」



近「周りを見てみろ。ここにいるのは君の仲間だ。家族だ。みんなを信じなさい。」



そう言われて顔を上げるとみんなが優しく微笑んでいた。



大丈夫。この人たちなら…!




紫「わかりました。聞いて、ください。」



「「「おう!」」」



大丈夫。大丈夫。



何度も心の中で繰り返しながら1つ、深呼吸をして私は口を開いた。