「我慢、って?」


「泣くの我慢してる。どうして?」


「どうしてって…」


約束だから。お父さんとお母さんと約束したから。


「紫乃のお母さんは大切な人のために力を使えって言ったんでしょ?それで力を使って俺たちを助けてくれた。



俺たちは紫乃の大切な人になれたんじゃないの?」



コクンと頷いた。


「大切な人には涙を見せてもいいってことでしょ?」



平助くんの言葉にハッとした。



「だから、俺らの…俺の前では我慢しないで。泣いていいよ。」


ーーーーギュッ



気づいたら平助くんの腕の中にいた。



「よく頑張った。紫乃はよくやったよ。」



暖かくて我慢していたはずの涙がこぼれた。



「う…っ。うぅっ…」



「大丈夫。もう大丈夫だから。」



「で…もっ!私、紫音を…紫音を、守れなかった…!」



「守ったよ。紫音ちゃんは紫乃がいてよかったって思ってるはずだよ。敵も打ったんだ。



もし、逆の立場だったら紫乃は紫音ちゃんのこと嫌いになる?」



ブンブンと首を横に振った。




「だろ?きっと紫音ちゃんもそうだよ。」





平助くんは優しく私の頭を撫でてくれた。



嬉しくて、暖かくて私は子どもみたいに泣いた