早足で歩く平助くんに置いていかれないように必死に歩く。


部屋に入ると先に私を入れて襖をピシャンッと勢いよく閉めた。


「…っ!」


なんだか苛立っているような平助くんが怖いと思った。


平助くんはどかっと腰を下ろすと私に背を向けて座ってしまった。


私もゆっくり、腰を下ろす。


一言も話さない平助くんに不安が募る。


…新選組のみんなが優しいから忘れていた。


きっと私の力とか、おじさんたちを手にかけたことを聞いて…幻滅したんだ。


こんな力、気持ち悪いって思うのが普通だもん…。


みんなもさっきはああ言ってくれたけどきっと……。


「紫乃。」


平助くんがいつもより低い声で私の名前を呼ぶ。


「…はい。」


怖くて、顔を上げられない。


「どうして、我慢するの?」


「え…?」


思いがけない言葉に顔をあげる。


「どうしてまだ我慢してるの?」


平助くんは眉間にしわを寄せて悲しそうに私を見る。