「そこを、平助と総司が助けたってわけか…。」


土方さんに言われ、こくんと頷く。


部屋はしんと、静まりかえった。


その沈黙を破ったのは、総司だった。


「…紫乃の、作り笑いはそう言うことだったんですね……。」


ギュッと手を握りうつむく。


「…笑ってないと、涙、堪えられないんで……。」


ふふっ、と笑った。


目の奥が熱くなっていたから。


「よく頑張ったな。辛かっただろう。もう、大丈夫だ。」

そう言って近藤さんは私の頭を撫でてくれた。

「…っ!あ、ありがとうございます…!」


一筋だけ、涙を流した。


その時だった。


「近藤さん、紫乃を部屋に連れて行っていいか?」


平助くんが言った。


「あ、あぁ。今日は疲れただろうしな。構わないが…」


「ありがとう。」


近藤さんの返事を聞いた途端、平助くんは立ち上がり私の腕を掴んで部屋を出た。


「え、平助くん…!?」


みんなにお礼言ってないのに…!


部屋を出る直前、振り返りみんなに少し頭を下げた。


平助くんはそれにも気づかないまま私の腕を引っ張り廊下を歩いて行く。