まずい!このままじゃ、捕まる…!


亜弥さんの最期の言葉を思い出しグッと足に力を入れる。


『紫音!逃げるよ!!』


そう言ったけど、紫音は動こうとしない。


『紫音!』


『亜弥、さん…。起きて!起きて!』


そう言って亜弥さんをゆすり続けていた。


『紫音!早く!』


紫音の腕を掴もうと手を伸ばした瞬間、


その手を掴まれ、身動きが取れなくなった。


『…司兄ちゃんっ!離して!』


司兄ちゃんは冷たい目で私を見下ろした。


『やだ!!離して!亜弥さんっ!お姉ちゃん!』


『紫音っ!!!』


おじさんは紫音の手を掴んでいた。


離せと紫音は暴れる。


振り回した手が慎おじさんの頬に当たった。


『…っ!くそ…。ギャーギャーうるせぇな!!』


その瞬間、月明かりで、銀色が、光った。


ーーーーズシャッ


肉の切れる音がやけに大きく聞こえた。


ドサッと、紫音が地面に崩れ落ちた。


『いやあぁぁああ!!紫音!!!』


紫音の元へともがいたが司兄ちゃんの手は力を増して私を離そうとしない。


『司兄ちゃん!離して!!紫音っ!紫音ぉ!!』


紫音は私の方へ手を伸ばして


『……ぉ、ねぇ…ちゃ……。』


動かなくなった。


『…し、お…?紫音…?いやっ!いやあぁぁああ!!』


『こいつはお前よりも力が弱いからな。お前さえいれば十分だ。』


紫音の血を払いながら慎おじさんは言った。


『…なんで……!なんで、こんなこと…っ!』