「あ…ごめん。」




彼の手は何にも触れることなく戻っていく。




「わ、私こそすみません…。」




ハハッと渇いた笑いが私の口からこぼれる。




彼の方を見ると驚いたように私を見ていた。




見られると、怖い。



大丈夫。泣いてないから。笑ったから。