いや、もうこれ地獄なんだが…
普通、男ならこの状況で簡単に
眠ることができるだろうか、いや無理だ。
俺が理性との葛藤を続けているというのに
隣を見ると葵はなぜか楽しそうにしていた。
「ねぇ、きょーちゃん!
修学旅行みたいじゃない?」
「あ…あぁ。」
「きょーちゃんと同じ高校だったけどさ、
学年違うから修学旅行一緒に行けなかったもんね〜。」
「まぁ、そうだな。」
「あの頃はきょーちゃんと修学旅行、一緒に行きたい!行きたい!って駄々こねてたんだよねぇ〜。私が中3できょーちゃんが高2の時!」
葵はその時のことを
思い出してかクスリと笑う。
「あの頃はさ、高校生でちょっと大人な
きょーちゃんがカッコよく見えて、
でもちょっとだけ寂しかったの…」
「寂しいって?」
「きょーちゃん、私よりどんどん先に大人になって離れていくから…」

