「まぁ、随分前の話だけど。」 きょーちゃんはその事を思い出したのか、 ふっと笑みが溢れた。 そして、私の頬から手を離した。 いつの間にか、私のマンションの前に 到着していた。 「んじゃな。 明日の会議の資料忘れんなよ。」 きょーちゃんは私の頭にポンと手を置いた。 ふわりと春の匂いが香った気がした。