「あと詳しい話は部活の時に話するね」
「俺も、里親の話、部活の時にする。中々難しいけど……うまくいかないものだね」
「うん」
こくり、と頷いて、口を閉じる。里親探しは、思うよりも難しく、中々上手くいかないものだ。
何年も親の手伝いをしていた私はそれをよく知っている。それでも、手が増えれば少しでも可能性は上がることも知っている。可能性が上がるのなら、出来る手は打てるだけ打つ。
結局、私は写真部に入ることにした。真白くんも写真部。天文部は親に反対されたらしい。夜寒いところにいると体調を崩すから、と。
「真白くん、今日の体調は?」
「まずまず、かなあ……先週一週間ゆっくりしたから、多分平気」
「真白くんの平気は割と信用ならないって、私学んだ」
大丈夫、平気と言って真白くんが保健室送りになったのは先週月曜日の話だ。それから先週いっぱいは休んでいたため、月曜日の今日が一週間ぶりの学校となる。
真っ青通り越して真っ白だった真白くんを思い出すと、今でも肝が冷える。慣れた様子で保健室に連行した柳くんが、凄いと思った。私には、当分できない反応だ。
真白くんは、本当に身体が弱い。それは、見ていればよく分かる。
だから私は、最初はただの好奇心に過ぎなかった観察を、真白くんが無理していないか確認するための手段に変えた。
元々、世話焼きと言われることの多かった私だ。そうでなくても、真白くんはちゃんと見てあげなきゃと思わせる何かがある。そして、見ていないとどんな事態に陥るか分からない現実も、ある。
真白くんの詳しい病気に関しては、よく分からないままだ。別に知らないままでもいいから、真白くんに何かあったときに何かしらできるようになっておきたいなあと、漠然と思った。
ちなみに、柳くんも写真部に入っていて、よく真白くんの面倒を見ている。真白くんと同じ中学出身の男子はクラスにも他に数名いるんだけど、どうやら柳くんとは小学校からの仲らしい、というのを茉莉から聞いた。
五十分授業を六コマ。ショートホームルームと掃除を終えて、写真部の部室となっている生物室へ向かう。理由は暗室があるため。現像するのに使うらしい。スマホしか使ったことのない私は知らなかった。
「あ、都築さんきた!」
「真白くんお待たせ! 柳くんは?」