僕は結局その場で一晩中母の顔を睨み付けていた。まばたきをするたびに、瞼の裏側には額を地面に擦り付けて謝る母の姿が映し出された。
朝陽がのぼり、部屋が次第に明るくなっていく。朝方の青は妙に部屋に映えていた。
僕は疲れた目をギュッと閉じた。母は相変わらず謝り続けていたが、そんなことはどうでもいい。目を開いて僕は外へと駆け出した。
息がきれても、転んでも。僕はひたすら走り続ける。
やがて、学校に着いた。午前4:00。当然のように門はしまっていたが僕は構わず、門にあるわずかな足場を利用して門の向こう側
に入った。近場に落ちていた石で窓を割って、校舎内に入る。走って屋上に向かった。
走りながら、僕は色々なものに憤りを感じていた。立花先生、父、母。そしてあの美しい夢。
あの夢のせいで僕は……僕は母に期待してしまった。父がいなくなったせいで僕は未来を見なくなった。 あの夢に立花先生が似ていたから、僕は未来を夢見てしまった。
そして、あまりにも単純な僕がひたすらに憎い。何も期待しなければ楽なのに。夢を追いかけようとしなければこんなに傷つくこともなかったのに。
いくつもあった階段は最後の一段となっていた。屋上の扉には鍵がかかっていた。僕は思いきり扉にぶつかった。何度も何度も繰り返した。もともと校舎が古いのもあってか、やがて扉は歪み僕は屋上へと放り出された。
転落防止のフェンスをよじ登り、僕はフェンスの向こう側に着地した。
冷たい風が僕の頬を掠める。
息を荒くし、後ろにあるフェンスを握り締める。
──ここから逃げ出したい。
片足を前に出す。途端、僕の半身を浮遊感が包んだ。それは、全身に広がった。いつの間にかもう片方の足も前に進んでいたようだ。
僕の体は落下していく。全てがスローモーションになり、浮いてる気にさえなる。
僕は遠い所へ。
朝陽がのぼり、部屋が次第に明るくなっていく。朝方の青は妙に部屋に映えていた。
僕は疲れた目をギュッと閉じた。母は相変わらず謝り続けていたが、そんなことはどうでもいい。目を開いて僕は外へと駆け出した。
息がきれても、転んでも。僕はひたすら走り続ける。
やがて、学校に着いた。午前4:00。当然のように門はしまっていたが僕は構わず、門にあるわずかな足場を利用して門の向こう側
に入った。近場に落ちていた石で窓を割って、校舎内に入る。走って屋上に向かった。
走りながら、僕は色々なものに憤りを感じていた。立花先生、父、母。そしてあの美しい夢。
あの夢のせいで僕は……僕は母に期待してしまった。父がいなくなったせいで僕は未来を見なくなった。 あの夢に立花先生が似ていたから、僕は未来を夢見てしまった。
そして、あまりにも単純な僕がひたすらに憎い。何も期待しなければ楽なのに。夢を追いかけようとしなければこんなに傷つくこともなかったのに。
いくつもあった階段は最後の一段となっていた。屋上の扉には鍵がかかっていた。僕は思いきり扉にぶつかった。何度も何度も繰り返した。もともと校舎が古いのもあってか、やがて扉は歪み僕は屋上へと放り出された。
転落防止のフェンスをよじ登り、僕はフェンスの向こう側に着地した。
冷たい風が僕の頬を掠める。
息を荒くし、後ろにあるフェンスを握り締める。
──ここから逃げ出したい。
片足を前に出す。途端、僕の半身を浮遊感が包んだ。それは、全身に広がった。いつの間にかもう片方の足も前に進んでいたようだ。
僕の体は落下していく。全てがスローモーションになり、浮いてる気にさえなる。
僕は遠い所へ。

