本当に適当に作ったオムレツを物凄い勢いで食べ始めた。
そんな彼を見つめていて、ふと気になった。
「そう言えば、あなたは何て言う名前なの？」
彼は勢いを止めて、顔をあげた。
「僕の名前は、澤村 翔。お姉さんは？」
「私は根室 美恵。じゃあ、あなたの事は翔くんって呼べばいいかしら？」
「お好きに。じゃあ、僕は根室さんって呼ぶね」
そう言うと、翔くんは再びオムレツにがっつき始めた。口の周りケチャップが付いているのを見て、翔くんがよほどお腹を空かせていた事と、高２とは言え彼はまだ子供だと言うことに気づかされた。ここまで幼いのなら恩を仇で返すことはないだろう。
私は自分でも気づけないほど小さくほくそ笑んだ。