,,,自分の鼓動と吐息の音で目が覚める。あたりは、物音一つ聞こえない。寝ぼけながら階段をおりると、母と父がのは話し声がきこえる。どうやら、お隣の家について話しているようだ。
 ここは、地獄と呼ばれている世界。この世界には、「鬼」と呼ばれる種族の鬼数(人で言うと人数のこと)が、他の種族とくらべて極めて多い。また、平均の寿命が1000才と、他の種族よりも長生きする方がなのだが、最近、ものすごいはやさで、鬼数が減ってきているのだ。その理由は、この「地獄」という世界からいなくなる鬼数に対して、新しく誕生する鬼数が、割に合わないからだ。いなくなる鬼数が、10だとしても、誕生する鬼数は、一もないと考えていい。
 誕生する鬼数が少ない理由は、色々ある。 この「地獄」の空は夕方と夜の色が混ざった暗い色一色で、雨なども降らず、それっきり変わることはないのだが、ごくたまに、雷が何度も繰り返し発生し、雨が打ち付けるようにふる、「神天雷雨」と呼ばれている雷雨が発生することがある。その雷雨の雷が、集中して集まる所があるり、「天地」と呼ばれている。そこが鬼が誕生する所となるのだが、その「神天雷雨」が、ここ1000年の間、1ヶ月前に、数時間発生しただけで、それっきり全く発生しないのだ。1年に数十回発生することもあれば、10年の間に1回しか発生しないこともある、実にバラバラに発生する「神天雷雨」だが、1000年に1回ましてや数時間しか発生しないなんて、めったにないことらしい。
 また、鬼が誕生するには、「天地」に、のちに親となる鬼の角のかけらと、「人間」の魂