日向くんを本気にさせるには。




***


「あっ、瀬崎さん!」


放課後いつも通り帰ろうとしたら
先生に声をかけられて足を止めた



「なんですかぁ?」


「これ、悪いんだけど保健室の小田先生のところまで持って行ってくれる?」


「は…い?」



保健室…この言葉を聞くだけで
ドクッて心臓が変な風になる


「ほら、瀬崎さん保健委員じゃない?」


え、わたし保健委員だった?


あぁぁ…しまった…そうだわたし保健委員だ


ほんの数ヶ月前の委員会決めの時
日向くんとの関わりを増やしたくて
保健委員になったんだっけ



はぁぁ…いまさらすっごく後悔…



「だから、このプリント運ぶのよろしくね?」


「はぁい…。」



あんまり気分は乗らないけど
小田先生にこれを届けに行くだけだし



別に


日向くんとに会いに行くわけじゃない…



って心の中でそう言い聞かせた