「そう、有名人。」
「どんな?」
こんな気軽に聞くべきじゃなかった
次の瞬間美緒から耳を塞ぎたくなる言葉が発せられた
芸能人でもモデルなんかでもなくて…
「唯一、日向月夜を虜にした絶世の美女ってことでね。」
「……え…?」
ドンって……頭を何かで殴られたみたいな衝撃が襲う
それと同時に全身が固まって
頭ん中が一瞬で真っ白になって
無駄に速く動き出す鼓動
「日向月夜が唯一彼女にした女子。それが月城海。」
「……へ、へぇ…そ…か。」
平静を装って声を振り絞るのが精一杯…
つまり…
月城海ちゃんは日向くんの元カノ…
誰にも夢中にならない…誰かに溺れたりなんかしない
彼女なんか絶対作らない…
そんな日向くんが唯一彼女にした女の子…
それが海ちゃん…ってこと?
「ねぇ、雫。今から言うことはわたしの勝手な予想だけどさ。」
一歩前を歩く美緒が言いたいこと…だいたい予想できるよ

