一番後ろの席だから
幸い誰にも目立たない。


「これ、もう落とすなよ。」


津村があたしに消しゴムを差し出す。

広げられた津村の手のひらを
あたしは自分の両手で優しく包む。



「えへへ。広ってもらっちゃった。ありがとう。」



デレろ、津村!
そしてあたしのことを好きになれ!!

握っている両手にそう念じた。


「お、おぅ……。」