父は弱い人なんだと思う。

それに母の事を本当に愛していた。

だから、母によく似たアタシに面影を重ねて、耐えられなくなっていったんだ。

アタシは母によく似ているけれど、母ではないのだから。


「……いけない、いけない」


飛鳥は首をブルブルっと振って気持ちを現在に引き戻す。

今考えるべきは“現在(いま)”なんだ。

過去を嘆いてもきっと何も始まらない。

あの親子がこの先もずっと幸せでありますように――…

飛鳥はそう願いながら彼らとすれ違った。

次の曲がり角を進んだ先にスーパーはある。

安くて品質が良いスーパーで有名な店。

店の前まで来ると、自動ドアの隅に貼られた広告に目をやった。


「今日のお買い得品は……」


ここで広告をチェックして入店するのが飛鳥スタイル。

時にはそれによって献立を変更することもしばしばだ。