その笑顔に飛鳥は心から安心してしまう。
「喜島さん、色々と相談とか話聞いてもらったりとか本当にありがとうございました」
飛鳥がペコリと頭を下げると、櫂人は「俺が好きでやってるんだからいいんだよ」と優しく諭した。
飛鳥は財布からコーヒー代を出してテーブルの隅に置く。
「アタシ、そろそろ行かないと。コーヒーご馳走様でした」
席を立って、櫂人の横を通り過ぎようとした時だった。
彼の大きな手が飛鳥の細い手を掴んだ。
櫂人は彼女の手を掴んだまま立ち上がって、背後からその華奢な身体を引き寄せる。
「き、喜島さん……!」
突然の抱擁に飛鳥は戸惑ったように声を上げた。
身動(みじろ)いでも彼の腕はピクリとも動かず、解けもしない。



