「あの……今日、櫂人さんは?」
「櫂人ならコーヒー豆の配達だよ。そろそろ戻ってくる頃だと思うんだけど……」
マスターがブレンドコーヒーを淹れながら孫の行方を話しているその時、店の外でバイクが停車する音が聞こえた。
しばらくすると、カランコロンとドアが開き「ただいま」という掛け声とともに櫂人が帰宅する。
「お帰り、櫂人。お客様がお待ちだよ」
マスターに言われて、櫂人は飛鳥が座る窓際の席に視線を向けると「飛鳥ちゃん!」と少し驚いた表情を見せた。
「こんにちは。お邪魔してます」
飛鳥はこの店に入ってきたときと同じように会釈をして挨拶をする。
「ほれ、櫂人。ボーっとしてないでお客様にコーヒーをお持ちして」
「お……おう」
櫂人は動揺しながらも、淹れたてのコーヒーを彼女の席まで運ぶ。



