“横に来い”とでも言わんとしているよう。
飛鳥は仕方なく彼の横の席へと移動した。
つい数分前に火が噴き出しそうなほど恥ずかしい事をしたばかり。
そんな彼の横にいるのもなんだかいたたまれなくて、飛鳥はコーヒーを一口啜(すす)る。
「生活はできているのか?」
沈黙を破ったのは意外にも和真の方だった。
不意をつかれた形の問いに、飛鳥はカップから口を離し「え、えぇ……まぁ」と頼りない返事をする。
「大学は?」
「休学しています。働いているとなかなか両立できなくて……」
「そうか。辛くはないか?」
「体力的にはかなりハードですけど、一之瀬さんに早くお金を返す為なので」
この言葉を聞いて、和真はピクっと眉を動かし反応した。
二人の関係性は“金の繋がり”だと和真自身も理解していたし、清算されるには多大な時間を要することも覚悟の上だった。



