「杉下、戻ったならコーヒーを入れてくれ。それから、一週間後の会議は何時からだ――…」
入ってきたのが杉下であると思い込んでいた和真は、ドアの前に一人立っている飛鳥の姿を見て言葉を失う。
二人は向かい合ったまま数秒間、時が止まったかのように立ち尽くした。
「飛鳥……お前がどうして……」
口火を切ったのは和真の方。
飛鳥がマンションを出て行ったあの日から、彼女と再び会える日が来るとは思っていなかった。
自分の意志でマンションを出て行ったのならばそれは仕方が無い事。
一之瀬 和真という存在が飛鳥の人生に必要無いのであれば自分は彼女の傍にいるべき人間ではないと、本気で考えていた。
だから、彼女の居場所をつきとめて無理矢理引き戻そうなどとしようとも思わなかったのだ。



