一之瀬さんちの家政婦君


こんな風に思ってくれていた親族がはたして何人いただろう。


故人の死を本当に悲しんでくれている人に“どうして”などという問いは野暮だった。


「ありがとうございます……」

娘として言えるのはこの一言に尽きる。

天国の母も喜んでいることだろう。

そんな母が大事に想っていた人との出会いは偶然だったのだろうか。


もし、出会うべくして出会ったのだとしたら……


飛鳥の頭の中に和真の顔が浮かぶ。

ますますちゃんと会わなければならない気がした。

「あの杉下さん、アタシ……一之瀬さんと会わなきゃ……」

飛鳥が杉下に訴えると、彼は「はい」と返事をして車を停める。

そして、車からおりて後部座席のドアを開けた。

杉下に連れられて到着した場所は都内でも名高い三ツ星ホテルだった。