ーside千秋ー



外来の診察をしていると、PHSが鳴った。




電話の相手は翔太君で、その表示に嫌な予感がした。




小春に、何かあったのか!?






冷静でいられず、電話に急いで出るとその嫌な予感は見事的中してしまった。







小春が、意識を失った。






何が起こったのか、検討もつかなかった。




やっぱり、今日の朝に学校へ行くことを止めておくべきだった。





俺の責任だ。







また、家族を失うなんて嫌だ…。






俺が、小春と夏姫を守るってあれだけ固く決めたのに。







今は、くよくよしていても仕方がない。






「河田さん。申し訳ないんだけど、妹が意識を失ったみたいで。急いでそっちの準備をしたいんだけど。」






「分かりました。



こちらは、任せてください。




急いで、代わりの医師を呼んできますね。」









「ありがとう。」







俺は、患者さんに頭を下げてから、急いで準備に取りかかった。






ベッドの準備が終わった頃に、舞が小春を抱えて来てくれた。







「小春!


おい!小春!」








小春の頬を叩いても、ビクともしなかった。







「まずいな…。」






「私、バイタルはかるね。」






「頼んだ。」






それから、何とか小春は一命を取り留めてくれて、ベッドへと運んだ。






いや…





そんなことよりも…







小春の心電図の波形に驚いた。








まさかだけど…これは…






『心臓病』




既に悪化していた。





完治は目指せないか…





目指したとしても、ここまでくると心臓移植しか方法はないか。





いや、それでも俺は諦めたくない。






守りたい。







大切な小春の命を、一生かけて俺が守っていく。






この時、深い眠りにつく小春の手を握りながらそう誓った。