ー陽向ー


小春は、何かから逃げてきたかのように音楽室へ飛び込んできた。





小春は確か、春休み以降から大きな音に過敏になり、その度胸を抑えていた。






柏木朋美の一言で、小春は意識を手放してしまった。








「何よ、そうやって演技してれば、皆があんたを許すと思って…」








「いい加減にしろ!」







柏木のいい加減な言葉に、俺はいてもたってもいられず、柏木にきれた。









「香織、小春のこと保健室行って病院に連れて行くように頼むから吉森先生に伝えて。」






「わかった。」








「紫苑、小春の荷物持っていこう。」






「あぁ。」





俺は、急いで小春を姫抱きにし保健室へと向かった。






「安城先生!!」




「どうしたの?そんなに急いで…

って!小春!どうしたの!」







安城先生は、急いで聴診を始めた。







「まずいわ…」





「どうしたんですか?」








「呼吸の回数が減ってきている。



早く病院に連れていくから、車に乗せて。



小春、大丈夫だからね。」






「先生!!」






「あっ、翔太君。



千秋の番号、分かる?」







「はい。」






「今すぐ、千秋に電話して。」






「分かりました。」







「先生、これ小春の荷物です。」






「浅倉君、ありがとう。」






安城先生は、小春の荷物を受け取ってからすぐに車に乗り込んだ。