ーside小春ー


千秋に全てを見透かされている気がして、朝から何も悪くない千秋や夏姫に強く当たってしまった。




千秋に関しては、私の体調の変化に気づかない訳もないか。





千秋は、大きな大学病院の循環器内科で医者として働いている。





「夏姫?早く行くよ。」




「は〜い。」





それから、夏姫も今日から高校1年生になる。





私と同じ高校に無事に合格した。






「はるちゃん、本当に大丈夫なの?」






「夏姫まで、千秋みたいな事言わないでよ。」






「ごめん、でも私もはるちゃんのこと心配してるんだよ。」






「大丈夫だから。」






「あっ!はる!」






駅のホームへ向かうと、いつも一緒に通っている彩桜(さくら)。






「彩桜、おはよう。」






「おはよう。



えっと、もしかして?」






「ほら、夏姫挨拶は?」





「若葉夏姫です。宜しくお願いします。」







「あっ、はるの妹か。


どうりではるに似て美人なわけだ。」







彩桜は、納得したかのように腕を組み頷いていた。






「葉山彩桜です。なっちゃん、今日からよろしくね。」





「はい!」





「それじゃあ、行こうか。」





「うん。」






学校へ着くと、自分のクラスへと向かった。






「おはよう!」





「翔太。おはよう。」





橋本翔太は、吹奏楽部でアルトサックスを担当している。





翔太は、誰とでも話せてクラスのムードメーカーである。






「翔太、小春。


朝は、楽器運びをするらしいから早く音楽室向かうぞ。」






私達に声を掛けてきたのは、朝倉紫苑。






紫苑は、トランペットを吹いている。





そして、私の幼馴染みである。





「てか、小春。


いつもより、顔が真っ白だけど大丈夫か?」





「大丈夫だよ?」





私は、頑張って笑顔を見せるけど幼馴染である紫苑には、隠しきれない。





「また、何か隠してるの?」





「紫苑?顔近いんだけど。」





私の額に、自分の顔を引き寄せる紫苑。






「熱は無いみたいだけど、手の指先が冷たくない?」





「ちょっと来い。」






「翔太!?」






私は、無理矢理翔太に手を握られ、訳もわからずに、教室を飛び出した。






翔太が向かった先は…




そう。





私が今、1番来てはいけない所。





保健室だった。