誰かの為に

もう静かに過ごしたかったのに……目立つのはもう嫌なのに。
ぎゅっと左腕を掴む
「七瀬?具合悪いのか?」
令の声に顔をあげだ
「疲れんてるんじゃない?遠かったしねぇ」
……そんなんじゃないけどね。
私は階段を上がり部屋へいく。
パーカーの腕をまくり露になった傷口を見つめる。
いつの間にこんなに増えてたんだろう。無意識って怖い。
《マジ消えろ》《死ね》《うるさいわね!あっちに行ってなさい!!》
聞こえてくる声に耳を塞ぐ。お願いだからやめて……
私の心はまだ弱い。
トントンと軽くドアがノックされる