誰かの為に

私はあそこで何も見ていなかった。
「まーたくらい顔してる」
そう言うって隣に座ったのは令だった。
令っていつまで家にいるんだろう。そろそろ帰らなくていいのかな。
って、あれ!?
「何で令お風呂まで入ってるの?」
「ん?今日は泊まってくー」
はぁ!?どこまで自由なのうちのおばあちゃんは!
いくら世話してるからって、私もいるのに・・・ああ、でもそうか、おばあちゃんにとっては本当の孫の私じゃなくて令との方が一緒にいる時間が長いんだ。どこに行っても私は誰かの中心にはなれないし、居場所はないんだ。
「七瀬?」
目に涙が溜まるのが分かる。
私は逃げるように部屋に駆け込んだ。後ろから令の声が聞こえるけど無視してしまう。
・・・私は独りぼっちなんだよ・・・。
「七瀬?・・・いきなりどうしたんだよ」
やめて、あなたには分からないよ。大事にされてるあなたには。
「・・・話してみ?力になれるか分からないけど少しは楽になるかもよ?」
私はその令の言葉に呆れるような笑いをこぼしてしまった。