俺のバンドのボーカルは耳が聞こえません



俺はその紙を黙って読んでから、黙った。
いきなりすぎて何も言えなかった。


そんな俺の反応を不思議に思ったのか、音生とイツが俺の横から紙を覗き見る。


「えっ…!」

最初に声を出したのはイツだった。
音生も驚いたような表情を浮かべて和田を見た。

和田は音生にニコッと笑いかけると、また俺の顔を見た。

「どうだ?」

「…なんでいきなりそんなことを言うんだ?しかも、お前のことを俺らは知らない。初対面だろ」


イツも音生も呼び止められた時俺と同じような顔をしてこの男を見たから、俺らの知り合いじゃないことはすぐに分かった。

ただ今日俺らの演奏を一度見ただけの男の話を、「ああ、そうか」と言って受け入れるほど俺は純粋無垢じゃない。


「そうだ。俺もお前らを知らない。だけど、俺はお前と同じ気持ちだ」

「同じ?どういうことだ?」