俺のバンドのボーカルは耳が聞こえません




イツがそんな俺を見て楽しそうに笑った時、俺らの前のバンドが演奏を終えて、ついに俺らの番になった。


『いよいよだな』

『頑張ろうね』

『僕らなら、きっと大丈夫です!』

そんなメモを渡し合っている間、司会が俺らの紹介をしていた。


「次は、初出場、そしてこの舞台が初ライブのワーストです!ワーストはですね、ボーカルが聴覚障害者で全く耳が聞こえません。しかし、そんなのを感じさせない透き通るような美声と最高のバンドメンバーで会場を感動の渦に巻き込みます!それでは、ワーストカモンッッ!!」

司会の紹介に出た聴覚障害という言葉に会場がざわつく中、俺らは名前を呼ばれてステージに上がった。



そして、全員が楽器を手にし、準備が整ったところで俺がコーラスマイクに口を近づける。



「どうも、ワーストです。ボーカルの音生は紹介の通り耳が聞こえません。今の俺の言葉も聞こえていません。でも、偏見を持たず聴いてください。最高の演奏をします。よろしく」