俺を含め、その場にいた全員が、正直自分の欠点とも言えるような、そう簡単に打ち明けられるものではない障害をアピールするなどという音生の発言に驚いた。
音生は、そこら辺で背景になっている普通の人間とは比べものにならないくらい強い人間だ。
肌が白く細くて、常に穏やかな笑みを浮かべているため見た目は普通の女子高生の何倍も弱々しいが、心だけ別人のように思える。
そうこう思い巡らせている内に、また一つのバンドが演奏を終えた。
「緊張するなあ……」
腕を組んで遠くで他のバンドががステージから降りてくるのを見ていると、隣からぽつりと声が聞こえて、俺はイツの顔を見た。
「お前、緊張するタイプなんだな」
「意外でしたか?」
そんなわけがない。
「いや、逆。そんな気しかしない」
「何なんですか、もう。そういう椿さんはどうなんですか?」
「俺?俺は緊張なんかしねえよ、何当たり前のこと聞いてるんだよ」
俺はそう言って、勢い良くイツの耳を引っ張った。


