俺のバンドのボーカルは耳が聞こえません




まず、音生が歌を歌えるようになる所から練習は始まった。

音生お気に入りのアプリを使いながら、声の調子やテクニックを俺がアドバイスして、歌をより音生らしく歌えるように作り上げていった。

ちなみに、初めて俺に歌の練習を見せてくれた時何故このアプリを使わず俺に手伝わせたのか音生に一度問いただしたが、音生には、「そうしたら一緒に音楽作るの楽しいな、一緒にしようって思ってもらえるかなって思った」と言われ、あれは音生の作戦だったと知った。
そして俺は、それにまんまとハマったというわけだ。


それと同時に、個々で曲を弾けるように練習をした。
教えられる所は教え合い、特に音生にはテンポをちゃんと取れるように、イツと二人で揺れたり手を叩いたりして、音生に曲の速さを教えた。


俺は俺で、久々にベースを弾くので、暇な時間をめいいっぱい使ってその練習をした。



そうしている内に、ついに本番まで一週間を切ってしまった。


「lol…lol…」

「あーー!!!間違えた!!」


二人が各々練習をしているのを片目に、俺はペットボトルの水をゴクっと飲み干した。