「それいいじゃないですか!」
イツに手を握られ、俺は気持ち悪さから、
「離せよ、きめえな」
とすぐに振り払った。
今のは本当にただの思い付きだったから、こうも気に入られると毒気が抜かれる。
『それいいと思う。読み方だけワーストにするの』
やはり音生も気に入ったようで、笑顔でメモ帳を見せてきた。
『ちなみに、ワーストって言ったのは、ワーストしか読めなかったからですか?』
イツが笑顔でそんなメモを見せてきて、どうやら俺に殴ってほしいという意味のようなので、一発殴ってやった。
「いった!本当に酷いなあ、もう……」
「殴ってほしかったんだろ?ん?殴られ足りないか?」
「ご、ごめんなさい…っ!」
光に対してはあれほどビクビクとうさぎのような顔をして震えていたくせに、案外失礼なイツは俺をナメているのだろうかと思いながら、それが心を開いてくれているようでほんの少し嬉しかったりもする。


