俺のバンドのボーカルは耳が聞こえません



俺はふっと笑うと、

『イツ、お前英語とか得意そうだな』

『はい、英語は得意な方です』

『世界の底辺にいるバンドを英語にしてくれ』

「えっ……」

イツは顔を跳ね上げて、驚いたような表情で俺を見る。
だけどすぐに微笑んで、

「分かりました」

紙にささっと英単語を並べていく。


『the worst band in the worldとかだと、世界で一番悪いバンドみたいになります。底辺とは少し意味が変わってきますが…』

『それでいいと思う!でもちょっと長いかな?』

『縮めたらいいんじゃね?頭文字だけ取ってさ』

『TWBITWって感じですか?読みにくくないですか?』

『確かに』

『もうこのままにする?んで、読み方をワーストだけにするとか』

適当にそう提案すると、音生とイツが同時にこちらを目を輝かせながら見てきて、俺は何だ?と顔をしかめる。