「嫌だね、自分で買ってこい」
俺は、ははっと笑いながら舌を出す。
橋本は諦めず、「貸して下さい」と何度も繰り返しながら俺の体の上に乗ってメモ帳とペンを奪おうとする。
俺も体をくねらせて阻止し続ける。
「ふふっ」
音生はその様子を楽しそうに見ていた。
俺ら三人が出会ってまだ一時間も経っていないというのに、まるで幼馴染で昔から仲が良かったかのように、笑い合いふざけあっている。
そんなことは初めてで、こうやって何も考えず馬鹿みたいに笑っている和やかな雰囲気は、そうであった昔の記憶がもうないほど久しぶりだった。
何だか居心地が良くて、俺は初めて、自分の居る場所を見つけた気がした。
「…まあ、とりあえずバンドの話をしようぜ」
橋本を押しのけながらそう言うと、俺はメモ帳から紙を一枚千切る。
「あ、そうですね」
「えっと、まず…」
『音生、光がいなくなったから、お前にはギターも担当してもらいたいんだけど、いいか?』
そう問うと、音生は笑顔で頷いた。
「次はバンド名だけど…どんなんがいい?」


