しかし、もう光に怯える橋本はどこにもいない。
「はい、出来るものならしてみて下さい。今までは自分なんてものなかったし、居場所も夢も何もなかった。だけど今はもう、やっと出来たから大丈夫です。貴方なんて怖くありません。俺には、バンドという居場所が出来ました。夢も、仲間も。だから、貴方のちっぽけな虚勢から生まれるいじめなんて、怖くも何ともありません」
えらく格好良く言い放った橋本に、俺は微笑む。
そんな橋本に光も何も言い返せなくなって、ぐしゃぐしゃっと頭を掻くと、
「……あっそ。面倒くせえな。好きにしろよ」
と、捨て台詞を吐くように部屋から大きな音を立てて出て行った。
「……。」
「……。」
「……。」
「……っあーーーーー!怖かったあぁぁ」
少しの沈黙の後、橋本が崩れるように床に座り込んだ。
さっきの威勢の良さはどこへやら、再び元の弱々しい橋本伊月に戻ったこいつが可笑しくて、俺は思わずクスッと吹き出して笑った。


