俺のバンドのボーカルは耳が聞こえません




『そうやって馬鹿にすることでしか上の立場で生きてこれなかったあなたは、きっと私や椿の話を信じていない。だって、あなたは人の話を常に否定して馬鹿にしてきたから。信じたり肯定することがきらいだから。私は何も聞こえないけど、大体のことは分かっているよ。私みたいな障害者じゃ無理だって思っているんでしょう?』


光がぐちゃぐちゃにして床に捨てた紙を橋本が拾い、それを俺に見せに来てくれた。
俺はそれを読み上げていく。

「私はちょ…」


『だけど、それは違う。私は障害者だけど、だからこそ、障害者が無限の可能性を持っていることを知ってる。無理だって諦めて限界を勝手に決めているあなたには分からないと思うけど。あのね、私が言いたいのはこれだけ。私のことが嫌いなら、気味悪く思うならそのままで構わない。なぜなら、私達のバンドに、無理だと諦めているようなあなたは必要ないから。私は本気で歌を歌います。心のどこかで諦めて本気で頑張らずに自分にとって心地良い場所で偉そうにしているあなたを、私は私達の仲間だとは認めません。メンバーにならないで下さい。あなたは必要ありません。』